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スティーブ・ジョブズは偉大だ その3

貪欲でいよう。愚直でいよう。

10連休の最終日。皆様は如何お過ごしでしょうか?

私は、インフルエンザ流行の最先端を突っ走っています。年初の1月にB型、2月にA型に感染したうえ、今また激しい咳と喉の痛みと節々の痛みと鼻水でグシャグシャの状態です。急に症状が表れて今日で4日目。熱が上がらないのは年のせいか・・・?!(深く考えるのはよしましょう。)連休はお医者さんも休み。研修の予定もなし。養生の時間はある!!

スティーブ・ジョブズは、卒業式の祝辞で「何事も始まりがあって終わりが来る。だから、今を精一杯生きよう。」と呼びかけました。私も「精一杯、症状に耐えて免疫力を強化しよう」と思います。(^^;

本題のスピーチですが、Stay hungry.  Stay foolish. という締めくくりの言葉に対して、スタンフォード大学のウェブサイトに掲載されたビデオには「ハングリーであれ。愚か者であれ。」という訳語がついています。

「ハングリー」は「ハングリー精神」という関連語から良い印象を持てるので、このままでも良いとして、「愚か者であれ」なんて、卒業生に贈る言葉として相応しくないと思いませんか?

実際、ネット上でも「これって、どういう意味ですか?」と質問が上がっていて、解説も多岐に渡っています。

今日現在で検索のトップに上がっているのが、こちら

詳細は原著者のページをご覧いただくとして、この方は訳語として「渇望せよ。常識に牙を抜かれるな。」と表現していますが、「恐れず、迷わず、捉われず、信じた道を行け」と解釈していて、素晴らしい分析だと思います。

次にランクされているのが、こちら

この解釈は「たとえ周りから見て愚かでも、常識から外れたことであっても、自分の好きなことや信念を曲げずに行動しなさい。」となっていて、こちらも納得のいく説明になっています。

でも、翻訳も手掛ける私としては、一言で印象に残る言葉を選択したい。そう思って選んだのが冒頭の「貪欲でいよう。愚直でいよう。」です。

特に気に入っているのが「愚直」という言葉の響き。ある製品を作るとき、職人が自分の拘りを持って仕事をするときの表現です。周囲の人間には意味がわからないけれど、本人は最重要視したことを丁寧に続けていく。。。それが愚直な人の態度です。経済合理性と対極に位置するこの言葉が、スティーブ・ジョブズの生き方にピッタリだと私は思います。

hungry はカタカナでも良かったのですが、漢字二文字だとリズミカルになるかなと思いました。

スピーチで語っているように、Stay hungry.  Stay foolish. はスティーブ・ジョブズのオリジナルの言葉ではありません。でも、彼がスピーチに使ったことで全世界の人々が知るところとなりました。Mac、Podcast、iPhoneと同じように、既に存在していながら誰の気にも留められなかったことについて、スティーブ・ジョブズは注目し、意味付けをし、人々の記憶に残るものに編成したのです。

スティーブ・ジョブズは、私にとっては富士山のような存在です。その神々しい眺めは、いつまでも愛でていたいと思うほどです。一方、一緒に仕事をした人達は大変だったでしょうね。常識外れの要求を次々と突き付けてくるんですから。富士山も、実際に登山した人は理解できると思いますが、生半可な気持ちで向かうと死ぬ思いをします。今回、彼のスピーチに言及するのはとても勇気がいることで、一言発したら十倍の反論が返ってくるんじゃないかと戦々恐々としていました。でも、自分の考えを発信することで新たな一歩を踏み出せる……それが分かったことが一番の収穫です。