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アメリカ英語とイギリス英語

一口に英語といっても、どこで使われているかによって、言葉の選択は随分違います。昨日お話した環状交差点も、アメリカとイギリスでは言い方が異なる・・・。 外国語として英語を学ぶ人にとっては、頭の痛い問題です。

 

でも、生の英語に接していると、あまり気にならなくなると思います。

イギリスに行って、十字路になっていない交差点を目にした。車は時計回りに動いていて、中心には roundabout という標識があった。そんな経験を繰り返すと、「この場所が roundabout なんだ」と認識できます。多少、形状が違っていても、共通項を見出して対処できます。暗記と違って、観察を重ねて覚えた言葉は、たとえ忘れても何かのきっかけで記憶を蘇らせることができます。

カタカナ英語になったエレベーターも同じです。日本にいると、「エレベーター」の表示があるところでは「大きな箱が上層階や下層階に人を運んでいる」ので、アメリカに行って elevator の表示を見ると、同じことができるとすぐに理解できます。イギリスでは、これが lift と表示されているので最初は「貨物用エレベーターしか無いの?」と戸惑いますが、すぐに慣れます。オーストラリアでは、大半が lift と表示されているのですが、時々 elevator なんて書いてあって、これまた戸惑います。

日本では、出口のところに exit の英語表記があるので、日本人がアメリカに行っても出口で迷うことはないでしょう。でも、イギリスでは、大半が way out。そして時々 exit の標示。丸暗記では対応できません。それでも、出口に向かって移動するときに way out や exit の標示を見る経験が重なると、頭がすんなり受け入れていることに気づきます。

 

フロアの数え方も戸惑いますね。

日本とアメリカは同じですが、イギリスには0階(ground floor)があります。

イギリスまたはオーストラリアに行ったとき、ホテルの部屋に入って一休みした後、外出しようとリフトに乗って、ついつい1階を押してしまう・・・

誰もが最初にやる失敗ですが、すぐに慣れます。

地下鉄の表現は、アメリカが subway に対して、イギリスは underground。

sub も under も「下」という意味があって、日本の地下鉄と同じニュアンスがありますが、私は都市を結ぶ幹線交通と都市内の交通機関の対比が言葉に反映されていると思います。

アメリカでは、主要都市が高速道路(highway)で結ばれており、都市内の移動には地下鉄(subway)が使われます。長距離鉄道の Amtrack もありますが、利用者は少ないようです。

一方、イギリスでは、主要都市間の移動には鉄道(overground railroad)、都市内では地下鉄(underground railroad)というように区別されています。イギリスで鉄道を利用すると、この対比が実感できます。

別に、実体験でなくても構いません。映画を見るのも、自分の体験を増やすことに繋がります。要は、映像を見て「どのように表現されているか」を確認する作業の積み重ねによって、語学力は磨かれるのだと思います。